「じゃあ、あなたたちみんな、刈谷朝斗って人のことで呼び出されたわけ?でもどうして?理由があるはずよね」
裕美が首をかしげてみんなを見回した。
「もしかしてあなたも」と、麻依が千夏に言う。
「知るワケ。私はただ隠れてただけ」
千夏が急に涙ぐんだ。
「あいつがキレちゃって。ちくしょう、もう絶対別れてやる」
「あいつってあのヤンキー?」
突然の背後からの声に、みんながふり向いた。男が入り口横の壁にもたれて立っている。
「メール、あったって言えよ」と、男は千夏に親しげに言った。
「森沢!なんでここに」と、千夏。
「声がするからのぞいてみたら、おれだけじゃなかったんだ。あーよかった」
「だれですか?」麻依が聞いた。
「いや、どうも。おれと朝斗はバイク仲間っていうか、バイクショップの知り合いつながりってわけ」
森沢俊樹はバイクショップでよく朝斗と遭遇し、なんとなく親しくなった。
「あ、こっちはバイクの改造に熱心なヤンキーにくっついてた女」と千夏を指す。
「なにそれ!」
「つまり、みんな刈谷朝斗の知り合いってことだ」
「あ、おれは朝斗と仲よかったから。こっちと違って」と、森沢という男は館山に言う。
「なにそれ!」また千夏がむくれた。
「おれだって悪かなかったよ」
「だったらなんで、みんなメールのこと隠そうとしたの?」
館山に麻依が反論した。
「おれは隠してない。まあ、営業さぼる時間つぶしに来てみただけなんだけど」
森沢は腕を組んだままだ。
「あの」裕美が声をはさんだ。「いま何時?」
「4時すぎ」と館山が時計を見せた。
「まあ、私そろそろ」
「ねえ、呼び出された私たちの共通点は何?刈谷朝斗になにか負い目があった?それとも…彼が死んだことに関係がある?」
「誰かが彼を殺したとでもいうの?」
「殺したとは言ってないでしょ!」
麻依が千夏に怒鳴った。
「メールを送ったのもこの中の誰かかもねえ」と、館山は麻依を見ている。
「なに?まだ私を疑ってるの?」
「あ、あの」
一斉にみんなが裕美を見た。
「あの、電話の声は男の人でしたよ」
「ほら〜ほらほら〜」
千夏がいじわるそうに館山と森沢を指した。
「あ、いえいえ、声が違うの」
「ほんとー?」
千夏がにやにやしている。
「間違いない。電話の声って聞き慣れてるからわかる」
「じゃあ一体誰が」
「麻依さん、だからさっきの」
「メタルザキ?まさか」
「メタル・・柏崎のことか?」と、館山。
「すごいネーミング」
森沢はバカにしたように笑った。
「そう、さっきこのビルの前にいた」
「なんであいつがメールするんだ?」
館山は冷静だ。
「そうだよね、まるで接点がなかったし」
「んー、でもよ、実は知り合いでしたとかってことはありえない?」
「あり得ない」森沢の軽い口調に麻依は断固として言った。
「ここの誰かがグルってことも?」
館山はまだ引き下がらない。
「なにそれ!」
「いや、可能性の話だよ」
「ていうか、誰、この人」
森沢は裕美を指した。
「あ、私のバイト先の…」
「どうも。町田裕美です。ああ、そうだ。もう私はいいわね」と、裕美はいまさらながらの紹介にちょっと笑った。
「まあまあ、そう言わずにつきあってよ」
「バイトって、保険会社じゃなかった?」
館山が麻依に意外そうに聞いた。
「そうそう、チーフだったそうよ。有名な会社なのにもったいない」と、裕美が麻依に代わって答えた。
「難しい人間関係と職場の軋轢のために肉体的にも精神的にも疲れて辞めました」麻衣が一気に言う。「はっきり言うの!どうしてどうしてどうして、もう聞かれ飽きたから」
「ま、いろいろ誰も大変だよな。高校の頃なんてなーんも考えてなかったし」
「それはあんたでしょ」
千夏が森沢にあっかんべーをした。場の空気が少しやわらいだ。
「じゃあ、もう晩ゴハンの支度しないといけないから帰るね。麻依さんも、昔の友だちを思う気持ちはよくわかるけど、もう帰った方がいいわ。ね、帰りましょう」
「いえ、やっぱり私、知りたいんです」
帰りかける裕美に、麻依がきっぱりとそう言った。
裕美が首をかしげてみんなを見回した。
「もしかしてあなたも」と、麻依が千夏に言う。
「知るワケ。私はただ隠れてただけ」
千夏が急に涙ぐんだ。
「あいつがキレちゃって。ちくしょう、もう絶対別れてやる」
「あいつってあのヤンキー?」
突然の背後からの声に、みんながふり向いた。男が入り口横の壁にもたれて立っている。
「メール、あったって言えよ」と、男は千夏に親しげに言った。
「森沢!なんでここに」と、千夏。
「声がするからのぞいてみたら、おれだけじゃなかったんだ。あーよかった」
「だれですか?」麻依が聞いた。
「いや、どうも。おれと朝斗はバイク仲間っていうか、バイクショップの知り合いつながりってわけ」
森沢俊樹はバイクショップでよく朝斗と遭遇し、なんとなく親しくなった。
「あ、こっちはバイクの改造に熱心なヤンキーにくっついてた女」と千夏を指す。
「なにそれ!」
「つまり、みんな刈谷朝斗の知り合いってことだ」
「あ、おれは朝斗と仲よかったから。こっちと違って」と、森沢という男は館山に言う。
「なにそれ!」また千夏がむくれた。
「おれだって悪かなかったよ」
「だったらなんで、みんなメールのこと隠そうとしたの?」
館山に麻依が反論した。
「おれは隠してない。まあ、営業さぼる時間つぶしに来てみただけなんだけど」
森沢は腕を組んだままだ。
「あの」裕美が声をはさんだ。「いま何時?」
「4時すぎ」と館山が時計を見せた。
「まあ、私そろそろ」
「ねえ、呼び出された私たちの共通点は何?刈谷朝斗になにか負い目があった?それとも…彼が死んだことに関係がある?」
「誰かが彼を殺したとでもいうの?」
「殺したとは言ってないでしょ!」
麻依が千夏に怒鳴った。
「メールを送ったのもこの中の誰かかもねえ」と、館山は麻依を見ている。
「なに?まだ私を疑ってるの?」
「あ、あの」
一斉にみんなが裕美を見た。
「あの、電話の声は男の人でしたよ」
「ほら〜ほらほら〜」
千夏がいじわるそうに館山と森沢を指した。
「あ、いえいえ、声が違うの」
「ほんとー?」
千夏がにやにやしている。
「間違いない。電話の声って聞き慣れてるからわかる」
「じゃあ一体誰が」
「麻依さん、だからさっきの」
「メタルザキ?まさか」
「メタル・・柏崎のことか?」と、館山。
「すごいネーミング」
森沢はバカにしたように笑った。
「そう、さっきこのビルの前にいた」
「なんであいつがメールするんだ?」
館山は冷静だ。
「そうだよね、まるで接点がなかったし」
「んー、でもよ、実は知り合いでしたとかってことはありえない?」
「あり得ない」森沢の軽い口調に麻依は断固として言った。
「ここの誰かがグルってことも?」
館山はまだ引き下がらない。
「なにそれ!」
「いや、可能性の話だよ」
「ていうか、誰、この人」
森沢は裕美を指した。
「あ、私のバイト先の…」
「どうも。町田裕美です。ああ、そうだ。もう私はいいわね」と、裕美はいまさらながらの紹介にちょっと笑った。
「まあまあ、そう言わずにつきあってよ」
「バイトって、保険会社じゃなかった?」
館山が麻依に意外そうに聞いた。
「そうそう、チーフだったそうよ。有名な会社なのにもったいない」と、裕美が麻依に代わって答えた。
「難しい人間関係と職場の軋轢のために肉体的にも精神的にも疲れて辞めました」麻衣が一気に言う。「はっきり言うの!どうしてどうしてどうして、もう聞かれ飽きたから」
「ま、いろいろ誰も大変だよな。高校の頃なんてなーんも考えてなかったし」
「それはあんたでしょ」
千夏が森沢にあっかんべーをした。場の空気が少しやわらいだ。
「じゃあ、もう晩ゴハンの支度しないといけないから帰るね。麻依さんも、昔の友だちを思う気持ちはよくわかるけど、もう帰った方がいいわ。ね、帰りましょう」
「いえ、やっぱり私、知りたいんです」
帰りかける裕美に、麻依がきっぱりとそう言った。
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