「やだ、なんか気味悪い」
裕美は首を横に振った。
「ねえ、カラスアパートって?」麻依に聞く。
「え?あのもうすぐ取り壊される日吉ビルのこと?」
麻依は驚いた。
「あ、そうか。そう呼ばれだしたの、私が学生の頃からだから」
「やだ、そこ、私の帰り道…。ま、間違い電話なんだし、さ、帰ろ」と、裕美は立ち上がった。
「あの」
麻依が呼び止めた。裕美が振り向くと、彼女は不安そうな顔をしていた。
「刈谷、朝斗、とか…言ってなかったですか?」
「えっ、そう。そう、なんかその人のことで、カラスアパートに来いって…」
麻依は本当に驚いた顔になった。
「どういうこと?やだ、さっきの間違い電話じゃないの?」と、裕美はちょっと困ったように笑った。
『 その日、刈谷朝斗は死んだ。
事故か 自殺か それとも他殺か
今も不明のままである。
しかし
知りたくはないか?
カラスアパートに来ればわかる 』
「“…来ればわかる”」
裕美は麻依の携帯の文字を読んだ。
帰り道、立ち止まって麻依が携帯を見せていた。
「気になるでしょう?10年前の同級生のことで、突然こんなのって」
麻依は刈谷朝斗とは高校で一緒のクラスだったのだ。
「会社の電話にかけてきたってことは、…私があそこにバイトで行ったの、知ってるってことじゃない?…携帯だけじゃなく、そこまでしてくるなんて…」
「なんだか怖いね。そんなの無視して、早く帰った方がいいって」
裕美は買物袋を持ちなおして歩きだしたが、麻依は立ち止まったままだ。
「麻依さん?」
「あのとき、彼がどうして死んだのか、よくわからないままだった。それがわかる
証拠とかなにか、持ってるのかも…」
「証拠?」
麻依は携帯を閉じた。
「私、刈谷朝斗と友達だったんです。顔を知ってる話したことのある人がある日、突然死ぬなんて…ずっとどこかに引っかかったままなんですよね…。いつまでも自殺だったのかもなんて、曖昧にずっと引きずっていたくないんです」
「麻依さん…」
「あの、裕美さん帰り道、いっしょに行っていいですか?」
麻依が急いで裕美の隣りに並んだ。
裕美は首を横に振った。
「ねえ、カラスアパートって?」麻依に聞く。
「え?あのもうすぐ取り壊される日吉ビルのこと?」
麻依は驚いた。
「あ、そうか。そう呼ばれだしたの、私が学生の頃からだから」
「やだ、そこ、私の帰り道…。ま、間違い電話なんだし、さ、帰ろ」と、裕美は立ち上がった。
「あの」
麻依が呼び止めた。裕美が振り向くと、彼女は不安そうな顔をしていた。
「刈谷、朝斗、とか…言ってなかったですか?」
「えっ、そう。そう、なんかその人のことで、カラスアパートに来いって…」
麻依は本当に驚いた顔になった。
「どういうこと?やだ、さっきの間違い電話じゃないの?」と、裕美はちょっと困ったように笑った。
『 その日、刈谷朝斗は死んだ。
事故か 自殺か それとも他殺か
今も不明のままである。
しかし
知りたくはないか?
カラスアパートに来ればわかる 』
「“…来ればわかる”」
裕美は麻依の携帯の文字を読んだ。
帰り道、立ち止まって麻依が携帯を見せていた。
「気になるでしょう?10年前の同級生のことで、突然こんなのって」
麻依は刈谷朝斗とは高校で一緒のクラスだったのだ。
「会社の電話にかけてきたってことは、…私があそこにバイトで行ったの、知ってるってことじゃない?…携帯だけじゃなく、そこまでしてくるなんて…」
「なんだか怖いね。そんなの無視して、早く帰った方がいいって」
裕美は買物袋を持ちなおして歩きだしたが、麻依は立ち止まったままだ。
「麻依さん?」
「あのとき、彼がどうして死んだのか、よくわからないままだった。それがわかる
証拠とかなにか、持ってるのかも…」
「証拠?」
麻依は携帯を閉じた。
「私、刈谷朝斗と友達だったんです。顔を知ってる話したことのある人がある日、突然死ぬなんて…ずっとどこかに引っかかったままなんですよね…。いつまでも自殺だったのかもなんて、曖昧にずっと引きずっていたくないんです」
「麻依さん…」
「あの、裕美さん帰り道、いっしょに行っていいですか?」
麻依が急いで裕美の隣りに並んだ。
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